更年期前までの女性は、男性よりもはるかに高血圧になる人が少ないのですが、これは、女性ホルモンに血圧を下げる作用があるためです。男性の場合は、特に生活習慣に注意が必要です。
30~40歳代では女藩高血圧は男性の3分の1
2000年の厚生労働省「第5次循環器疾患基礎調査」によれば、日本で30歳以上の高血圧患者は、男性が約51.7% 、女性が39.7%と、男性の方が女性よりもはるかに高血圧になる人の割合が高いという特徴があります。特に30歳代では、男性は女性の約3倍、40歳代でも約2倍にのぼります。女性の方が男性よりも高血圧になりにくいのには、女性ホルモンが大きく関係しています。
女性ホルモンのエストロゲンには、血管の収縮を抑え、血管の老化を防ぐ作用があります。
また、体内に水分やナトリウムが増えると、血管にかかる圧力が高くなったり、血管を収縮させる原因となるのですが、プロゲステロンには水やナトリウムの排泄を促す作用があります。このように、更年期までの女性は、女性ホルモンの分泌によって高血圧の発症リスクが少ないのです。
男性の方が高血圧になりやすい生活習慣がある
女性よりも男性に高血圧患者が圧倒的に多い理由は、女性ホルモンの影響によるものだけではありません。高エネルギー・塩分の多い食事、運動不足による肥満、仕事のストレス、喫煙、飲酒といった生活習慣を持つ人は、女性よりも男性に多く見られます。お酒を飲む機会も女性の社会進出が増えていますが、男性の方がお酒を飲む機会が多いのも影響しているでしょう。
仕事で外食が多く、忙しくて運動する暇がない。おまけにストレスに悩まされているといった生活に思い当たる男性も少なくないでしょう。
10年前と比べても、30~49歳の男性で高血圧の人の割合は増加傾向にあります。男性は女性よりもなおさら生活習慣に注意する必要があるのです。しかし、女性でも閉経後は女性ホルモンの減少に従って高血圧が増えてきますので、やはりある年齢からは、注意が必要です。
女性ホルモンには2種類ある
1つは月経を成立させたり女性らしさをつかさどる卵胞ホルモンで、そのなかの1 つがエストロゲンです。
もう1 つは妊娠の維持を最も大切な役目とする黄体ホルモンです。プロゲステロンはこの黄体ホルモンに当たります。