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運動の際の注意

運動を行う程度は年齢や高血圧の症状によって異なります。また、高血圧の人には向かない運動もあります。医師に相談をしてから、自分に合った運動をゆっくりとしたペースで始めるようにしましょう。

自分のペースが大事

「有酸素運動はには降圧効果がある」でも紹介していますが、運動には降圧効果がありおすすめです。どれぐらいの強度の運動を行ったらよいかは、その人の年齢や運動能力などによって異なります。一般的な運動の強度は、心拍数を目安にします。
高血圧の人が早歩きをするときに安全なのは、心拍数をあまり上げずにニコニコと話しながら歩けるペース( ニコニコペース) です。このペースなら苦しさを感じずに続けられ、しかも血圧を下げる効果も十分にあります。ニコニコペースは年齢によって異なります。下の囲みの算出方法で計算してみましょう。運動後、15秒ぐらいたった脈拍の強度の割合が40~60% ならちょうどいいペースと言えます。70歳以上の人はそれ以下の強度でも構いません。あまり厳密に考えず、気持ちいいと感じるぐらいのペースで運動をしましょう。

ニコニコペース

ちょっと汗ばむ程度で会話しながら行える運動強度の目安を、計算しましょう。
138-(年齢÷2 )=ニコニコペース

数値は、ニコニコペースで行える運動をしたときの1分間の脈拍数です。50歳の人なら110回程度です。これぐらいの脈拍数が維持できるような強さの程度が目安になります。

運動を行うときは医師と必ず相談してから

運動をするときは、準備運動を十分に行ってから始めます。体調が悪いときは無理をしてはいけません。また、運動の途中でひざや腰などに痛みを感じたときや、息苦しくなったときはすぐに中止します。ひざや腰に痛みがある人は、ひざへの負担が軽い水中ウオーキングがお勧めです。また勝敗を競うテニスやサッカー、バレーボール、バドミントンなどは避けた方がよいでしょう。重症の高血圧の人が運動をすると、血圧がさらに上がって脳卒中や心筋梗塞の危険性が高まります。また、服用している降庄薬によっては、運動が勧められないものもあります。運動を始める前に、どのような運動をどれぐらい行ったらよいかを必ず医師に相談してください。

別の病気が原因で血圧があがってしまうケース

別の病気が原因で高血圧になる二次性高血圧は、決して多くはありませんが約10% の人に見られます。若い年代ほど割合が高いので、若年層の高血圧の人はほかの病気の有無を調べることが大切です。

腎性高血圧

腎臓は、血圧と密接な関係を持つ臓器です。別の病気が原因で起こる高血圧で、最も多いのが腎臓の痛気によるもので、高血圧全体の2~5% を占めます。
腎臓の病気や、腎臓にダメージを与える病気に伴う高血圧を「腎性高血圧」と言います。腎性高血圧はさらに、腎臓自体の障害によって血圧が高くなる「腎実質性高血圧」と、腎臓の動脈が障害されて血圧が高くなる「腎血管性高血圧」に分けられます。
腎実質性高血圧の主なものには腎炎、慢性腎孟腎炎、糖尿病性腎症、痛風腎、妊娠腎、腎結石などがあります。
腎臓はナトリウムや水分の量を調節して、血液の量を適正に保つ役割を持っています。この機能が低下すると、血液の量が増えて血圧が上がります。
また、腎臓が障害されると、腎臓で産生される血圧を上げる作用のあるレレニンというホルモンが過剰に作られる一方で、血圧を下げる作用を持つプロスタグランディンE2という物質の産生が低下してしまいます。このように、腎臓の働きに障害があると、血圧にさまざまな悪影響を及ぼすことになるのです。

腎動脈の動脈硬化などで上がる

心臓から送り出された血液の約2割が腎臓を通過します。そのため、腎臓の血管に動脈硬化が起こつて血流が悪くなると、血圧が上がります。これを「腎血管性高血圧」と言います。
腎臓の動脈が狭くなる原因として最も多いのは、高齢者に起こりやすいアテローム性動脈硬化です。
高齢化とともに、腎血管性高血圧も高齢者を中心に徐々に増えています。腎血管性高血圧にはほかに腎動脈硬化、線維筋性異形成、大動脈炎症候群などがあります。

内分泌性高血圧

ホルモンが分泌過剰になる

二次性高血圧のなかで腎臓の障害に続き、2番目に多いのが「内分泌性高血圧(副腎性高血圧)」です。副腎は左右の腎臓の上にある小さな内分泌器官です。内分泌器官とは、体のいろいろな臓器の働きを調整しているホルモンを分泌している臓器のことです。
副腎は外側の皮質と内部の髄質に分かれており、それぞれが別のホルモンを分泌しています。副腎から分泌されるホルモンは、血圧との関係が深く、皮質から分泌されるアルドステロンは腎臓の尿細管でナトリウムの再吸収とカリウムの排泄を促します。
また、髄質から分泌されるアドレナリンやノルアドレナリンといったホルモンは血管を収縮させて、血圧を上げる作用を持っています。これら以外にも副腎からはさまざまなホルモンが分泌されています。それらの量が多すぎることで生じる高血圧を「内分泌性高血圧」と言います。

内分泌の異常は血液検査やCT、MRIなどでわかる

副腎の内分泌の異常で起こる主な病気には、「原発性アルドステロン症」や「クツシング症候群」などがあります。
原発性アルドステロン症とは、アルドステロンの分泌量が異常に増える病気です。アルドステロンはカリウムの代謝にかかわっており、アルドステロンの分泌量が増えると、血液中のカリウム量が低下してナトリウム量が増え、血圧が高くなります。
また、クッシング症候群は、副腎皮質から分泌される糖質コルチコイドというホルモンの分泌が過剰になる病気です。糖質コルチコイドは糖の代謝にかかわるとともに、血圧を上げる物質を増やす作用があります。
そのため、糖質コルチコイドの分泌量が増えると、やはり血圧が上がります。これらの病気以外に、「甲状腺機能克進症」や「甲状腺機能低下症」、あるいは副腎皮質に腫瘍ができる「褐色細胞腫」などがあります。二次性高血圧は血圧が高くなるだけでなく、特徴的な症状を伴うことが多いものです。
内分泌の異常が疑われるときは、血液や尿中のホルモン量を測る検査のほか、CT、MR Iなどの画像検査を行います。また、アイソトープを用いた核医学検査を行うこともあります。内分泌異常が認められた場合は、状況に応じて薬物療法や放射線療法、あるいは手術が行われます。

脳神経疾患による高血圧

まれにしか見られませんが、神経系の異常で高血圧になることがあります。脳血管障害や脳腫瘍といった病気や、脳外傷によって脳がむくみ脳庄が高まったときに血圧が上がることがあります。
また、循環や呼吸の調節に重要な役割を果たす延髄や橋に炎症が起こる小児麻痺(ポリオ)、ギラン・バレー症候群などの神経炎が原因となることもあります。
そのほかにも、血圧を心配しすぎたり、緊張しすぎて血圧が高くなる心因性の高血圧のタイプもあります。
脳出血や脳梗塞などの脳血管障害に伴ぅ高血圧は、発症して1~2週間以内は血圧が上昇します。しかし、多くの場合しゆは安静にして脳浮腫の治療を行うことで、降庄薬を使用しなくても数日以内で血圧は下がります。
脳腫瘍など、脳内を圧迫して血圧が上がっている場合は、手術で圧迫を取り除くことで血圧は下がります。良性の脳腫瘍の多くは、手術によって腫瘍部分をすべて切除することが可能です。
現在では、脳ドックが普及したことやCT、MRI撮影によって、症状が出る前に発見される脳腫瘍も多くなっています。

その他の病気が原因で血圧が上がるケース

大動脈の一部が細くなったり、大動脈弁の障害で血圧が高くなることがあります。
胸部の大動脈の一部が狭くなる「大動脈縮窄症」という病気では、上半身が高血圧、下半身が低血圧になることがあります。大動脈縮窄症は先天性の病気で、上半身と下半身の収縮期血圧の差が20~30mmHg以上になることもあります。「大動脈弁閉鎖不全症」は、左心室と大動脈にある大動脈弁が完全に閉じられなくなる病気です。そのため、左心室から大動脈へ送り出された血液が逆流するため、心臓の負担が大きくなって血圧が上がります。
先天的な異常のほかに、リウマチや感染性の心内膜炎に伴って起こることがあります。
また、「妊娠中毒症」を起こした場合、高血圧になることもあります。妊娠中毒症とは、妊娠20週目以降に高血圧、むくみ、たんばく尿の1 つ以上が起こるものを言い、妊婦の5~10% に見られます。妊娠中に高血圧になると、分娩後もそのまま高血圧が改善されないことも少なくありません。また、出産後に正常値に戻っても、ある程度の年齢になってから再び高血圧になることもあります。高血圧の家族歴がある人は特に注意が必要です。

これといった症状はなくても放置しておくと動脈硬化が進む

血圧が高いと言われても、体に症状がないために問題ないと放置する人がおられます。しかし、血圧が高い状態が続くと、血管が弾力性を失って全身に血液を送ることができなくなります。そのままにしておくと、脳や心臓などに障害が起こり、死につながることもあるのです。

自覚症状はなくても血管障害がおきる

血圧が高くても自覚症状はほとんどありません。しかし、体の中には確実に変化が起こっています。
心臓から送り出された血液は、大・中・小動脈から細動脈を経て毛細血管へと流れていきます。この中で、血圧が高い状態が長く続くと、特に影響を受けるのが柵動脈です。
動脈は内膜、中膜、外膜の三層になっています。なかでも中膜は、筋肉の輪になって動脈に弾力性をつける働きをしています。
心臓から血液が送り出される際に、高い圧力がかかっている状態が続くと、細動脈の中膜が発達して厚くなります。心拍出量が増えて多くの血液を送り出しているのに、末梢血管抵抗が増大するので、出口に近い細動脈に影響が及ぶのです。
中膜が厚くなっても血管が太くなるわけではなく、内側が厚くなるので内腔が狭くなってしまいます。するとそれまでの弾力性が失われて硬い血管になります。これが動脈硬化です。

全身の細動脈に動脈硬化が起きる

高血圧が続くと全身の柵動脈に動脈硬化が起こります。特に、脳の血管や心臓から出る動脈が詰まったり破れたりすると、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞など、命にかかわるような病気を引き起こします。
また、目の網膜動脈や腎臓の動脈などが動脈硬化を起こすことによって、臓器障害が引き起こされます。
さらに、高血圧だと心臓に負担がかかるために、心肥大や心不全などの合併症を招くことになります。
高血圧には、これといった症状はありません。そのために気付かず放置しておくと、いつのまにか血管や心臓が障害されて、命にかかわるような病気を引き起こすことが多いのです。そのため高血圧は「サイレント・キラー(沈黙の殺し屋)」とも呼ばれているのです。

細動脈の直径は0.5mm以下

毛細血管へ血液を送る細動脈の直径は、わずか0.5mm 以下です。その細い血管内にも中膜があるおかげで、弾力性によって心臓が拡張したときの血圧がゼロにならずにすむのです。ちなみに毛細血管では直径わずか0.01mm です。

収縮期血圧と拡張期血圧の数値によって、高血圧は細かく分類

収縮期血圧が140mmHG以上、拡張期血圧が90mmHG以上は高血圧と診断されます。しかし、それ以下であっても注意しなければならない人はたくさんいます。高血圧は日本人の成人に最も多い病気です。常に血圧の値に注意するようにしなければなりません。

日本人の4人に1人は高血圧

現在、日本で高血圧の人は約4000万人もいると言われています。国民の4人に1人が高血圧とされ、成人に多い病気の代表格と言えます。
日本高血圧学会が作成したガイドラインでは、正常な血圧値は収縮期血圧が130mmHG未満、拡張期血圧が85mmHG未満です。
さらに正常血圧の範囲の中でも、収縮期血圧120mmHG未満かつ拡張期血圧80 mmHG未満を、心臓や血管に最も負担のない理想的な血圧という意味で「至適血圧」として設定しています。
また、正常範囲であっても、やや高めの場合は「正常高値血圧」となります。これは、今は高血圧ではないけれど今後高血圧になる可能性があるという意味で、高血圧の予防が必要という警告の数値と考えます。

高血圧は細かく分類される

高血圧と診断されるのは、収縮期血圧が140mmHG以上、拡張期血圧が90mmHG以上です。
高血圧は程度によって対応が異なるため、数値ごとに細かく分類され「軽症」「中等症」「重症」の3段階に分けられます。
なお、収縮期血圧と拡張期血圧が異なる分類に入る場合は、高い方の分類に組み入れられます。
また、それ以外にも「収縮期高血圧」という分類もあります。これは、高齢になるに従い、動脈の弾力がなくなって収縮期血圧だけが高くなるタイプの高血圧です。
高血圧のガイドラインの分類は、あくまでも脳梗塞や心筋梗塞を起こす危険度の目安にすぎません。正常血圧なら絶対病気にならない、と線引きをしているわけではないので、血圧値には常に注意するようにします。

高血圧の基準は世界共通

高血圧の診断基準は、世界共通というわけではありません。食生活や体質など国によって異なる面もあるため、国によってWHO(世界保健機関)/ ISH(国際血圧学会)、米国合同委員会、欧州高血圧学会によるものなど、それぞれの基準があります。ただし「140/90mmHG以上が高血圧」という基準はどれも共通です。

軽症高血圧でも医療機関への受診を

高血圧と診断されても30~40歳代の人の8~9割が治療を受けていないとされます。
また50歳代でも治療を受けていない人は65% 以上にのぼるとされています。高血圧は軽いうちなら薬に頼らずに治療ができます。たとえ軽症であっても、必ず医療機関を受診するようにします。

同じ条件で長期間測定が基本

血圧は1日の中だけでなく、季節や気温によっても変わります。家庭用血圧計を用意して、毎日測る習慣をつけるのがおすすめです。上手に使えば高血圧の予防はもちろん、治療にも役立ちます。高血圧で受診している人は1日3回測定して結果を主治医に見てもらうと適切な治療方針が早く決まります。

同じ条件で日にちを変えて測定

血圧は、健康な人でも変動しやすいので、1ヶ月に1度医療機関で測ってもらうだけでは、状態を十分に把握できません。
また、実際には高血圧ではないのに、病院では血圧が高くなってしまう「白衣性高血圧が起こることもあります。
病院で測るときは、同じ条件で日にちを変えで数回測ることが大切です。また、家庭で血圧を測り、血圧の変化をつかむ習慣をつけることが重要視されています。
家庭で簡単に血圧を測定できる機器が増え、日本高血圧学会でも、家庭で測る血圧値を高血圧に重要な指標として位置付けています。
日ごろから家庭で血圧を測定すれば、自分の血圧のレベルや変化を把握でき、血圧のコントロールにも大変役立ちます。また、医療機関で測ると正常血圧なのに、普段の生活では高血圧になる「仮面高血圧」も見つけることができます。

血圧が高い人、やや高めの人は家庭用血圧計は必須です。

家庭用血圧計で朝夕2回測って記録する

家庭用血圧計にはさまざまなタイプのものがありますが、上腕にカフを巻きつけて測定するタイプが、誤差が少なく表示されます。より正確に血圧を調べたい人にはおすすめです。
測定は毎日同じ条件で長期間続けるのが基本です。朝夕2回測り、きちんと記録を残すようにしましょう。
タイプによっては睡眠中の血圧も測れるタイプもあります。血圧は1日何回測っても構いませんが、測定するたびに記録をしておくと、血圧値の変化があったときに医師に提示することで、正しい診断につなげることができます。

血圧測定の際の注意点

  • 病院で測定する場合…計測前30分以内はコーヒー・紅茶などカフェインの入った飲み物や、喫煙を控える・少なくとも5分間以上は座って安静にしてから測る
  • 家庭で測定する場合…【朝】●起床後1 時間以内●朝食前●降圧薬服用前●排尿後●座って1~2分安静にしてから測る
    【夜】●就寝前
    ●座って1~2分安静にしてから測る

家庭で測る方が病院で測るよりも血圧は低くなる

家庭で測る血圧は医療機関で測定するよりも低めになるのが一般的です。そのため、日本高血圧学会の治療ガイドラインでは、家庭用血圧計での高血圧の診断基準は、医療機関での測定値よりも低く設定されています。

家庭用血圧計による高血圧の基準

  • 高血圧:13 5/80mmHg以上
  • 降圧治療が必要:135/ 85mmHg以上
  • 正常血圧:125/80mHg未満
  • 確実な正常血圧:125/75mmHg未満