65歳以上で病院を受診する人の病気の策1位が高血圧です。高齢になると動脈硬化が進み、心臓は高い圧力で血海を流そうとするために収縮期血圧が高くなります。モのため、脳梗塞や心筋梗塞を起こす危険性が高まります。
高齢になると血圧の差が大きくなる
年をとると誰でも動脈硬化が進みます。太い動脈の動脈硬化が起こり、血管が硬くなるために心拍出によって生じた血圧の上昇を和らげることができなくなります。
そのため、特に収縮期血圧が高くなります。逆に拡張期血圧は低くなる傾向があるので、上の血圧と下の血圧の差が大きくなります。高齢者の高血圧患者の多くは、収縮期血圧が160mHg以上あり、拡張期血圧は90mHg未満です。また、高齢になると血圧の変動が大きくなるという特徴もあります。もともと血圧は1日のうちで変動しますが、加齢によって血圧を調節している自律神経などの仕組みがうまく働かなくなったり、血管の弾力性がなくなってくるので、1日のなかでも血圧の変動が大きくなるのです。
さらに高齢者では、起立性低血圧が起こりやすかったり、白衣性高血圧が増えるなどの特徴があります。
誰でも高血圧になるわけではない
高齢になると高血圧の人が増えますが、誰でも高血圧になるわけではありません。
65歳以上でも35%の人は、高血圧にはならないのです。また、高齢者の血圧は個人差も大きいのが特徴です。
高血圧は必ずしも「老化現象」と言い切ることはできません。高血圧を招く生活習慣は、若いころから始まっています。高齢になると血圧は若いころに比べて高くなりがちなので、なおさら危険因子は減らさなければいけません。年をとっても生活習慣を改善して血圧の上昇を防ぐことは、高血圧に伴う脳梗塞や心筋梗塞を予防するためにも大切です。
家庭用血圧計で測定するときは3分間立った後で
高齢者は起立性低血圧(寝た状態や座った状態から立ち上がったとき、収縮期血圧が20mmHg 以上下がる病気) を起こすことが多いため、座位で血圧を測った後に3分間くらい立った状態を保ってからもう一度、立位の血圧を測るようにします。
高齢者でも血圧を下げることが大切
動脈硬化が進んだ高齢者では、あまり血圧を下げてしまうと血液の循環が悪くなり、かえって脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなるというリスクが強調されていました。
そのため、以前は「高齢者の血圧はある程度高くてもよい」とも言われていました。しかし、高齢者でもきちんと治療を行った方が、合併症のリスクを減らせることがわかっています。