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病気の治療薬や市販薬のなかには血圧を上げる作用を持つものがある

薬のなかに副作用により血圧が上がったり、血圧の治療薬の効果をなくしてしまう作用を持つものがあります。高血圧とは別の病気の治療薬を飲んでいる人は、薬剤の影響で血圧が上がっているかどうかを鑑別する必要があります。

市販薬にも血圧を上げる作用のあるものもある

高血圧の人の場合は、ほかの病気を持っていることケースも多く、複数の医療機関を受診して降庄薬(血圧を下げる薬) 以外の薬を服用しているといったことも少なくありません。
薬によっては血圧を上げる作用を持っていたり、降庄薬の効果そのものを効かなくしてしまうものもあります。医療機関で処方される薬だけでなく、市販薬でも血圧を上げる作用を持つものがあります。医療機関でもらう薬だけでなく、風邪薬や胃腸薬など市販薬を服用する場合も、必ず医師や薬剤師に相談するようにしてください。血圧を上げる作用のある薬には、次のようなものがあります。

  • 非ステロイド性抗炎症薬
  • 甘草(グリチルリチン)
  • 糖質コルチコイド
  • シクロスポリン
  • エリスロポエチン

そのほか、ピル(経口避妊薬) にも血圧を上げる作用があります。

非ステロイド性抗炎症薬

非ステロイド性抗炎症薬とは、抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を持つ薬の総称。
風邪薬や頭痛薬、リウマチの薬など、幅広く使われていますが、腎臓の機能が低下して、血圧が5mmHg程度上がることがあるとされています。特に高齢者は、急性腎機能障害を起こしやすいので注意が必要です。
また、高血圧の治療薬の利尿薬やACE阻害薬、β遮断薬と併用すると、血圧を下げる効果が減少するとされています。
降圧剤については以下のサイトに詳しい記載があります。
高血圧の治療に使われる薬について | 薬の効能と副作用(生活習慣病に関連する薬)

甘草(グリチルリチン)

甘草は、肝疾患、消化器疾患の治療薬など、多数の漢方薬に含まれています。大量に長期間服用しなければ高血圧になることはありませんが、血圧が上昇するようであれば薬を中断します。

糖質コルチコイド

ぜんそく、リウマチなどの関節炎の治療薬ですが、少量ならば長期間使用しても問題はあまりありません。ただし、高齢者が多量に服用すると、血圧が上がることがあります。

シクロスポリン

臓器移植や骨髄移植を行った人が、拒絶反応を抑制するために使われる薬です。腎臓移植後には50~60% 、心臓移植後では90% に高血圧が発症したという報告があります。

エリスロポリチン

慢性腎不全の貧血改善に使用しますが、循環血液量が増えて血液粘濃度が高まるため、20~30% の人は急激に血圧が上昇したり、高血圧脳症を起こすことがあるとされます。

別の病気が原因で血圧があがってしまうケース

別の病気が原因で高血圧になる二次性高血圧は、決して多くはありませんが約10% の人に見られます。若い年代ほど割合が高いので、若年層の高血圧の人はほかの病気の有無を調べることが大切です。

腎性高血圧

腎臓は、血圧と密接な関係を持つ臓器です。別の病気が原因で起こる高血圧で、最も多いのが腎臓の痛気によるもので、高血圧全体の2~5% を占めます。
腎臓の病気や、腎臓にダメージを与える病気に伴う高血圧を「腎性高血圧」と言います。腎性高血圧はさらに、腎臓自体の障害によって血圧が高くなる「腎実質性高血圧」と、腎臓の動脈が障害されて血圧が高くなる「腎血管性高血圧」に分けられます。
腎実質性高血圧の主なものには腎炎、慢性腎孟腎炎、糖尿病性腎症、痛風腎、妊娠腎、腎結石などがあります。
腎臓はナトリウムや水分の量を調節して、血液の量を適正に保つ役割を持っています。この機能が低下すると、血液の量が増えて血圧が上がります。
また、腎臓が障害されると、腎臓で産生される血圧を上げる作用のあるレレニンというホルモンが過剰に作られる一方で、血圧を下げる作用を持つプロスタグランディンE2という物質の産生が低下してしまいます。このように、腎臓の働きに障害があると、血圧にさまざまな悪影響を及ぼすことになるのです。

腎動脈の動脈硬化などで上がる

心臓から送り出された血液の約2割が腎臓を通過します。そのため、腎臓の血管に動脈硬化が起こつて血流が悪くなると、血圧が上がります。これを「腎血管性高血圧」と言います。
腎臓の動脈が狭くなる原因として最も多いのは、高齢者に起こりやすいアテローム性動脈硬化です。
高齢化とともに、腎血管性高血圧も高齢者を中心に徐々に増えています。腎血管性高血圧にはほかに腎動脈硬化、線維筋性異形成、大動脈炎症候群などがあります。

内分泌性高血圧

ホルモンが分泌過剰になる

二次性高血圧のなかで腎臓の障害に続き、2番目に多いのが「内分泌性高血圧(副腎性高血圧)」です。副腎は左右の腎臓の上にある小さな内分泌器官です。内分泌器官とは、体のいろいろな臓器の働きを調整しているホルモンを分泌している臓器のことです。
副腎は外側の皮質と内部の髄質に分かれており、それぞれが別のホルモンを分泌しています。副腎から分泌されるホルモンは、血圧との関係が深く、皮質から分泌されるアルドステロンは腎臓の尿細管でナトリウムの再吸収とカリウムの排泄を促します。
また、髄質から分泌されるアドレナリンやノルアドレナリンといったホルモンは血管を収縮させて、血圧を上げる作用を持っています。これら以外にも副腎からはさまざまなホルモンが分泌されています。それらの量が多すぎることで生じる高血圧を「内分泌性高血圧」と言います。

内分泌の異常は血液検査やCT、MRIなどでわかる

副腎の内分泌の異常で起こる主な病気には、「原発性アルドステロン症」や「クツシング症候群」などがあります。
原発性アルドステロン症とは、アルドステロンの分泌量が異常に増える病気です。アルドステロンはカリウムの代謝にかかわっており、アルドステロンの分泌量が増えると、血液中のカリウム量が低下してナトリウム量が増え、血圧が高くなります。
また、クッシング症候群は、副腎皮質から分泌される糖質コルチコイドというホルモンの分泌が過剰になる病気です。糖質コルチコイドは糖の代謝にかかわるとともに、血圧を上げる物質を増やす作用があります。
そのため、糖質コルチコイドの分泌量が増えると、やはり血圧が上がります。これらの病気以外に、「甲状腺機能克進症」や「甲状腺機能低下症」、あるいは副腎皮質に腫瘍ができる「褐色細胞腫」などがあります。二次性高血圧は血圧が高くなるだけでなく、特徴的な症状を伴うことが多いものです。
内分泌の異常が疑われるときは、血液や尿中のホルモン量を測る検査のほか、CT、MR Iなどの画像検査を行います。また、アイソトープを用いた核医学検査を行うこともあります。内分泌異常が認められた場合は、状況に応じて薬物療法や放射線療法、あるいは手術が行われます。

脳神経疾患による高血圧

まれにしか見られませんが、神経系の異常で高血圧になることがあります。脳血管障害や脳腫瘍といった病気や、脳外傷によって脳がむくみ脳庄が高まったときに血圧が上がることがあります。
また、循環や呼吸の調節に重要な役割を果たす延髄や橋に炎症が起こる小児麻痺(ポリオ)、ギラン・バレー症候群などの神経炎が原因となることもあります。
そのほかにも、血圧を心配しすぎたり、緊張しすぎて血圧が高くなる心因性の高血圧のタイプもあります。
脳出血や脳梗塞などの脳血管障害に伴ぅ高血圧は、発症して1~2週間以内は血圧が上昇します。しかし、多くの場合しゆは安静にして脳浮腫の治療を行うことで、降庄薬を使用しなくても数日以内で血圧は下がります。
脳腫瘍など、脳内を圧迫して血圧が上がっている場合は、手術で圧迫を取り除くことで血圧は下がります。良性の脳腫瘍の多くは、手術によって腫瘍部分をすべて切除することが可能です。
現在では、脳ドックが普及したことやCT、MRI撮影によって、症状が出る前に発見される脳腫瘍も多くなっています。

その他の病気が原因で血圧が上がるケース

大動脈の一部が細くなったり、大動脈弁の障害で血圧が高くなることがあります。
胸部の大動脈の一部が狭くなる「大動脈縮窄症」という病気では、上半身が高血圧、下半身が低血圧になることがあります。大動脈縮窄症は先天性の病気で、上半身と下半身の収縮期血圧の差が20~30mmHg以上になることもあります。「大動脈弁閉鎖不全症」は、左心室と大動脈にある大動脈弁が完全に閉じられなくなる病気です。そのため、左心室から大動脈へ送り出された血液が逆流するため、心臓の負担が大きくなって血圧が上がります。
先天的な異常のほかに、リウマチや感染性の心内膜炎に伴って起こることがあります。
また、「妊娠中毒症」を起こした場合、高血圧になることもあります。妊娠中毒症とは、妊娠20週目以降に高血圧、むくみ、たんばく尿の1 つ以上が起こるものを言い、妊婦の5~10% に見られます。妊娠中に高血圧になると、分娩後もそのまま高血圧が改善されないことも少なくありません。また、出産後に正常値に戻っても、ある程度の年齢になってから再び高血圧になることもあります。高血圧の家族歴がある人は特に注意が必要です。

寒い冬は血管を収縮させ、血圧を上げる原因となる

血圧は夏よりも冬の方が高くなるのが一般的です。それは、寒いところでは、体温を逃がさないように血管が収縮するためです。心血管病による死亡率が最も高くなるのも冬です。血圧が高い人は、特に急激な温度変化には注意しなければなりません。

暑さ、寒さで血圧は変動する

血圧は1日のうちだけでなく、季節によっても異なります。健康な人でも一般的に、夏は低く冬になると高くなる傾向があります。
気温が低いところでは、体内の熟の放散を防ぐために血管が収縮します。寒いと体が縮こまりますが、低い温度に対しては交感神経が緊張して、肉体的にも精神的にも反応するのです。
また、寒いと発汗も抑えられるので、体内から塩分(ナトリウム)が排泄されにくくなって、それも血圧が上がる原因になります。寒いと誰でも血圧は上がりますが、高血圧の人では、その上がり方の程度が大きくなるので特に注意が必要です。
冬に屋外に出るときには、寒気にさらされないために服装に気を配り、防寒対策をしっかりとってから外出するようにしなければなりません。

夏に涼しい部屋と暑い外を行き来しても血圧は上がる

寒いところに長時間いるだけでなく、冬に暖かいところから急に寒いところに出たときも急激に血圧が上がります。
同じ屋内でも、暖かい部屋から寒いトイレに行ったり、入浴時に寒い脱衣所で服を脱いだりしただけでも血圧に影響を与えます。
外出時の防寒には気を配っても、家の中ではつい油断しがちです。また、冬の寒さだけでなく、夏に暑い戸外から、冷房の効いた部屋へと入るのも要注意です。
その急激な温度差で交感神経と副交感神経がバランスを崩し、血圧は急上昇します。急激な温度変化にさらされると血圧は上昇し、脳卒中や心筋梗塞を起こす危険が大変高まります。実際、心血管病による死亡率も、冬が最も高いという特徴があります。寒いところに長時間身をさらしたり、暖かい部屋から寒い場所へ出るときは、十分な注意が必要です。

海水浴はNG

暑い日にいきなり冷たいシャワーを浴びたり、サウナで汗をかいた後に冷水をかぶると、血圧は一気に上昇します。高血圧の人は絶対にやってはいけません。

ストレス 血圧

過度の ストレス 血圧上昇の原因になる

過度の ストレス 血圧上昇の原因になる交感神経を刺激して血圧を上昇させます。現代社会は、ストレス社会と言われ、日本人の3人に1人は慢性的な疲労に悩まされているとされています。ストレスを受けると交感神経が刺激されて、さまざまなホルモンの分泌に影響を及ぼし、血圧の上昇の原因になります。

ストレス 血圧上昇 により体の反応はさまざま

ストレスは血圧を上げる要因の1つです。怒りや悲しみ、緊張状態やつらい体験などによるストレスを「情動的ストレス」と言い、情動的ストレスを受けると、たとえ血圧が正常値の人でも血圧は上がります。
ストレスは体にさまざまな反応を起こします。交感神経が活発になり、心臓は心拍数を増やし、心臓から送り出される血液畳も増えます。

また、アドレナリンの分泌も促されて血圧が上がります。通常は、ストレスがなくなれば血圧は下がりますが、ストレス状態が持続すれば血圧は上昇したままになつてしまうのです。

働き盛り=ストレス盛り

男女ともに20~50歳代まで、普段の生活でストレスを感じる人は8割を超えています。
特に40歳代では、9割以上の人がストレスを感じています。仕事や家庭で忙しい毎日を送る年代ほど、ストレスを抱えている傾向があります。ストレスを感じているとき、食欲がなくなったり、逆に食べることでストレスを発散する人も少なくないものです。

「平成14年国民栄養調査」では、食事量に変化がある人は女性では5割を超え、男性でも3割強の人が変化するとの結果が出ています。なかでも、「体重が減る(やせる)」と答えた人は、男性で10.2% 、女性で12.5% ですが、「体重が増える(太る)」と答えた人は、男性は6.2 % 、女性は15.8% と、女性の方が食べることでストレスを発散する傾向にあるようです。

ストレス自体で血圧が上がるのに加えて、いわゆる「ストレス太り」をすれば、ますます血圧に影響を及ぼすことになります。

つらいことだけでなくうれしいこともス トレスになる

ストレスと言うと、一般的には怒りや悲しいことなどが原因になると思われがちです。しかし、鼻進や子どもの結婚などうれしいことであっても、人生上の大きな出来事がストレスとなって血圧を上げることもあるのです。

ストレスと血圧の関係

  • ストレス反応: ストレスを感じると、体は「闘争か逃走か」の反応を示し、アドレナリンやコルチゾールなどのストレスホルモンが分泌されます。これにより心拍数が増加し、血管が収縮して血圧が上昇します。
  • 短期的な影響: 短期間のストレスは、血圧を一時的に上昇させることがありますが、通常はストレスが解消されると血圧も正常に戻ります。
  • 長期的な影響: 慢性的なストレスは、持続的な血圧上昇を引き起こすことがあります。これが続くと、高血圧(高血圧症)を引き起こし、心血管疾患や脳卒中などのリスクが増加します。

ストレス管理の重要性

  • リラクゼーション: ストレスを軽減するために、リラクゼーション法(深呼吸、瞑想、ヨガなど)を取り入れることが有効です。
  • 運動: 定期的な運動は、ストレスを軽減し、血圧を正常化する効果があります。
  • 食事: バランスの良い食事を心がけ、塩分やカフェインの摂取を控えることで血圧を管理しやすくなります。
  • サポートを求める: ストレスを感じたときは、友人や家族、専門家に相談することも大切です。

まとめ

ストレスは血圧を上昇させる要因となるため、ストレス管理が高血圧の予防や改善に重要です。健康的な生活習慣を心がけ、ストレスを軽減する方法を見つけることが、全体的な健康維持に役立ちます。

運動をしない人は血圧が上がりやすい

運動をしている最中には血圧が上がりますが、習慣的な運動をくり返し続けることによって血圧は下がります。逆に運動をする習慣がない人は、その分血圧も高くなりやすいのです。また、運動不足が招く肥満や糖尿病は、血圧を上げる要因になります。

運動を継続することで安定的に血圧を下げることができる

通常、運動をしているときは体温が上がり、体がポカポカと温かくなります。このとき、血液の循環はよくなり血液畳も増して、血圧は上がっています。そして、運動の強さが増すほど、血圧も上昇します。
一方で、適度な運動を習慣的に行うと、アドレナリンなど血管を収縮させて血圧を上げるホルモンが減っていきます。同時に、ドーパミン、プロスタグランジンE2、タウリンなど血圧を下げる働きをするホルモンや血中物質が増えます。
これらのホルモンは、尿の排泄をよくして血液の量を減らすため、血圧が下がるのです。また、血液の流れをよくするなど、運動によって血圧を下げるメカニズムが体内で働くようになります。さらに、ストレスは血圧を上げる要因の1 つですが、運動にはストレス発散の効果も期待できます。
このように、運動には血圧を下げるさまざまな効果があります。
実際、運動をする習慣がない人は、運動習慣のある人よりも血圧が高いことがわかっています。

20~40歳代にはほとんどに運動習慣がない

運動不足は肥満を招きます。また、コレステロールや中性脂肪などを増やして高脂血症を起こしたり、インスリンの働きを低下させて糖尿病にもなりやすくなります。
運動不足は血圧を上げるだけでなく、さまざまな生活習慣病の原因にもなるのです。「平成15年国民健康・栄養調査結果の概要」では運動習慣がある人(1回30分以上の運動を週2日以上実施し、1年以上継続している) は、男性の20~50歳代と、女性の20~40歳代では3割以下にしかすぎません。
運動習慣のある人の割合が最も高いのは男女とも60歳代で、次いで70歳代となっていました。仕事が忙しく運動をする時間がない人は、せめて日常生活上での活動量だけでも増やしたいものです。

からだを動かす機会が圧倒的に減った現代人

1970年代までは、日本の人口全体の約8割が農業などの第一次産業に従事していました。
しかし、高度経済成長とともに産業の構造も変化し、70年代以降では第三次産業への従事者が増えて、それまでとは逆に約8割の人が、体を動かす必要のない仕事に就いています。