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高血圧による血管障害(心血管障害)

高血圧が続くと、心筋梗塞など命にかかわる心疾患も起こしやすくなります。男性では収縮翔血圧が10mmHG上昇すると、心臓の血管障害が起こったり死亡する率が、約15~20%増加するとされています。

心臓肥大→心筋が酸素不足

血圧が高くなると、心臓は強く収縮して全身に血液を循環させなければなりません。それが長期になれば、心臓の筋肉(心筋) にかかる負担が増えるために厚みを増し、肥大していきます。
特に高血圧の人の心臓は、常に強い力をかけてたくさんの血液を全身に送らなければいけないので、左心室が肥大(左室肥大)します。心肥大が進むと心臓の働きが低下して、全身に十分な血液を送ることができなくなり、心不全に陥ります。心不全は、すべての心臓病で起こる可能性がありますが、心不全から狭心症や心筋梗塞を招くことも少なくありません。

狭心症や心筋梗塞が命にかかわることもある

高血圧が引き起こした動脈硬化が、心臓の筋肉に酸素と栄養を運ぶ冠動脈に起こると、冠動脈が硬くなって血液の流れが滞り、そこに血栓ができやすくなります。
それによって血管が詰まり、心筋が酸素不足になると、虚血性心疾患を起こします。虚血性心疾患の代表が「狭心症」と「心筋梗塞」です。狭心症とは、血液の流れが妨げられて心筋が一時的に血液不足になる病気で、突然胸が締め付けられるような痛みが起こります。発作は長くは続きませんが、心筋梗塞に移行することも少なくありません。心筋梗塞は冠動脈が完全に詰まる病気で、発作が起こると心筋への血流が途絶えてしまいます。その状態が20分以上続くと、そこから先の心筋の細胞は死んでしまいます。壊死した細胞は元に戻ることはありません。そのため、すぐに治療をしないと命にかかわることもあります。
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高血圧による血管障害(脳血管障害)

日本人の死因のなかで、最も高血圧が関係するのが脳血管障害。脳血管障害を起こすと、死に至らなくても重い後遺症を残すことが多く、予防には血圧のコントロールが最も重要とされています。

高血圧で脳の血管が詰まる

高血圧が引き起こす最も怖い合併症の1つが脳血管障害(脳卒中)です。
脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破れたりすることで起こる痛気の総称で、脳の細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなって死に至ったり、重い後遺症を残すことがあります。
脳血管障害による死亡者は減少していますが、それでも、まだ日本人の死因の第3位を占めています。
脳卒中の最大の危険因子は高血圧です。収縮期血圧が10mmHg上昇すれば、脳卒中を発症したり死亡する率は、男性では約20% 、女性では約15% 高くなるとされています。そして、その割合は血圧が上がれば上がるほど高くなります。

高血圧と関係が深いラクナ梗塞と脳出血

脳卒中には大きく分けて、血管が詰まって起こるタイプ(虚血性)と、血管が破れて起こるタイプ(出血性)に分けられます。血管が詰まるタイプを「脳梗塞」と言い、脳卒中の7~8割を占めます。
脳梗塞はさらに、動脈硬化のある場所が詰まる「脳血栓」と、主に心臓にできた血栓(血の塊)が血流で脳に運ばれて詰まる「脳塞栓」に分けられます。脳梗塞で高血圧と関連が深いのが、日本人の脳卒中では最も多い「ラクナ梗塞」です。
ラクナ梗塞は脳の細い血管が詰まるので症状は比較的軽いのですが、再発を繰り返したり、気づかないうちに多発しているケースもあります。
すると、まひや言語障害などの後遺症を残したり、認知症を引き起こします。
また、最近増加傾向にある「アテローム血栓性梗塞」は、脳に血液を運ぶ太い動脈が詰まる病気です。主な原因は動脈硬化で、その下地には高血圧があります。

脳出血の大部分が高血圧による

突然強い発作を起こして死に至ることもある出血性の脳卒中には、脳出血やクモ膜下出血があります。特に脳出血は高血圧と深いかかわりがあり、85~90%は高血圧が引き金になって起こります。

無症候性血管障害はいずれ大きな発作を起こす可能性が高い

脳の血管に起こった障害が小さいと、症状が現れないことがあります。これを「無症候性脳血管障害」と言い、放置しておくと、その後に大きな発作を起こしたり、小さな発作が多発することがあり大変危険です。 脳ドックで見つかった場合、専門医で必ず治療を受けるようにしてください。

放置すると血管障害の原因になる

血圧が高い状態をそのままにしておくと、全身の動脈に影響が及びます。冠動脈や脳動脈の血管が詰まった場合は、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしこれが死につながるケースもあるため注意が必要です。

動脈硬化は命の危険につながる

動脈硬化になり動脈内の通り道が狭くなると、血液が流れにくくなります。さらに血栓(血の塊) ができて血液の流れが完全にふさがれてしまうと、その先に酸素と栄養が供給されなくなり、組織は死んでしまいます。
高血圧はこのような血管への影響を全身の動脈に及ぼします。動脈硬化が心筋に血液を送っている冠動脈に起こると、狭心症や心筋梗塞などの「心血管病」、脳の動脈に起こると、脳梗塞や脳出血などを引き起こします。
平成15年の日本人の死因の第1位はがんですが、心疾患は第2位、脳血管障害は第3位と、高血圧が影響したり原因によって病気で亡くなる人は増加しています。

腎臓や足、目の動脈など動脈化は全身に起こる

動脈硬化の影響は心臓と脳だけではありません。腎臓や下肢、目の網膜などに動脈硬化が起こると、命にかかわることはなくても、体にさまざまな障害をもたらします。動脈硬化は糖尿病、高脂血症、痛風、肥満などによっても引き起こされますが、

最も大きな危険因子は高血圧です。ほかの危険因子も併せ持っていると、それだけ動脈硬化の進行を加速させてしまいます。メタポリックシンドローム のように、日本人にも危険因子を複数持つ人が増えています。血圧が高い人は、血圧を下げるだけでなく、ほかの危険因子を少しでも減らして、動脈硬化に対して注意することも必要です。また、動脈硬化への危険性をしっかり認識することも大切です。

血圧が高い状態が続くと血管の負担によって動脈硬化を促進させる

動脈硬化は誰でも10~20歳をすぎるころから始まります。加齢により避けることはできません。通常は年齢を重ねるにつれゆっくり進行しますが、高血圧があると血管の老化が急速に進みます。動脈硬化は大きく3つのタイプに分かれますが、モのいずれにも高血圧がかかわっています。

血管は硬くもくなりり内腔を狭くする

動脈は血液を体のすみずみにまで運ぶ、いわば血液の輸送路です。血圧が高い状態が続くと、この動脈の血管壁に絶えず強い圧力がかかります。すると、血管壁が弾力性を失い、厚くなったり硬くなったりして、血管の内腔が狭くなります。

これが動脈硬化です。動脈硬化は、誰でも10~20歳代で起こり始め、高齢になるとある程度は進行しています。
しかし、高血圧があると、血管内腔の内皮細胞(血管の内膜で血液に接する部分)も障害されます。すると、そこからコレステロールなどが動脈の内壁に侵入しやすくなつてしまいます。そして、コレステロールに呼び*寄せられたマクロファージや、傷ついた内皮細胞を修復しようと血小板などの血液の成分が集まり、動脈硬化の進行をさらに加速していくのです。

動脈硬化のほとんどがアテローム硬化

動脈硬化にはさまざまなタイプがありますが、大きく分けると次の3タイプに分けられます。

アテローム硬化(粥状硬化)

内皮細胞が障害されると、血小板が集まってきて血栓(血の塊) ができたり、コレステロールなどがたまって内膜にアかゆテロームという粥のような塊ができて、血管内腔が狭くなります。
高齢者に多く、一般に動脈硬化というと、このアテローム硬化を指します。冠けい動脈、脳動脈、頚動脈、腎動脈などによく起こります。

大動脈硬化

血管の狭窄は起こりませんが、血管が硬くもろくなって内圧に耐えられなくなり、大動脈痛が起こりやすくなります。また、血管壁が傷つまいて卦がれる大動脈解離を起こすこともあります。腹部や胸部の大動脈に起こります。

細動脈硬化

脳や腎臓などの臓器の毛細血管につながる細い動脈(細動脈) に起こる動脈硬化です。複数の細動脈に起こると、臓器の働きに障害を及ぼします。

マクロファージについて

もともとは白血球の成分で、貧食細胞とも呼ばれます。異物や老廃物を包みこんで食べてしまうことで、免疫システムで重要な役割を果たしています。

高血圧に注意することで動脈硬化を防ぎ、血管は若く保つことができます。
健康長寿は、動脈硬化を防ぎ、血管を若々しく保つこと

高血圧は自覚症状がないまま進行し、合併症を引き起こす

高血圧にこれといった特有の症状といったものはありません。モのため、血圧が高くても気づかなかったり、放っておいたりする人が多いものが現状です。しかし、それとは相反するように高血圧は静かに進行して、症状が現れたときには既に大きな合併症を引き起こしていることが多いのです。

高血圧の合併症による症状

血圧が高くなっても、何か体にサインが現れるわけはありません。そのため、高血圧であることを知るまでには血圧を測るまで気づかないことがほとどです。また、血圧が上がり始めると頭痛や息切れがすることもありますが、どれも健康な人にも起こるもので、高血圧特有の症状ではありません。「疲れているせいだ」と思っているうちに、進行させてしまうことがあります。
また、せっかく健康診断で軽度のうちに発見できても、自覚症状がないからと放置してしまう人が多くいます。高血圧は放っておくと動脈硬化を起こし、それが心臓病や脳卒中の引き金となり、遂には命にかかわることもあります。合併症を防ぐには、なるべく早い時期に治療を開始することが必要であるのに、治療が遅れてしまうことが少なくないのです。

以下の症状は、一般的に高血圧と関連があると言われていますが、症状から高血圧を発見することはかなり困難です。また、これらの症状は急に血圧が上がったときなど、高血圧の初期に現れることもありますが、ほとんどの場合は合併症に伴って起こります。
つまり、症状が現れたときは、高血圧はかなり進んでいる可能性があるのです。症状から高血圧を発見するのではなく、定期的に血圧を測定し、症状が起こる前に早期発見が重要です。

年に1回の受診が重要

定期健診では、血圧測定が必ず検査項目に含まれています。年に1回の定期健診は、高血圧に限らず、さまざまな生活習慣病の危険性をチェックする機会でもあります。
特に自覚する症状がなくても、体の中では密かに病気が進行しているかもしれません。「体調がいいから大丈夫」と過信せず、定期健診は必ず受けましょう。

頭痛

後頭部が痛む、あるいは頭が重い感じがするのが特徴で、多くは朝起きたときに起こります。強く痛んだり吐き気を伴うときは、急激に血圧が上がっていることもあるので注意が必要です。一方で、片頭痛(気分の悪さを伴う片側の頭痛) や緊張型頭痛(首や肩のこりを伴う後頭部の頭痛) などの慢性頭痛が原因で血圧が上がることもあります。
頭痛に関してはこちらに詳しく記載があります。

動悸と息切れ

血圧が高い状態が長く続くと、強い力で血液を送り続けたために心臓が肥大して心不全を起こすことがあります。また、高血圧から動脈硬化が進むと、狭心症や心筋梗塞が起きることがありますが、これらの発作の前には胸が締め付けられるような痛みの症状が出ます。
いずれにせよ、動悸や息切れは高血圧が重症になつたサインとも言えます。

肩こり

動脈硬化によって血液の循環が悪くなると、肩こりが起こることがあります。また、中高年に多い五十肩に悩まされて、血圧が上がることもあります。

めまい

脳動脈が動脈硬化を起こすと、脳へ運ばれる血流が不足して、周りがグルグルと回るようなめまいや、頭がフラフラするめまいを感じることがあります。

むくみ

動脈硬化が進んで心臓に負担がかかっしゆて心不全になると、むくみ(浮腫) が起こることがあります。また、腎臓の機能が低下して手足のむくみが出ることがあります。

むくみとは?

通常なら体外へ排泄されてしまう水分が、体の細胞と細胞の間にたまって起こります。心臓や腎臓の疾患では手足や顔にむくみが出ます。すぐ下に骨がある脚の「すね」などを数秒、指で押してみます。指を離した後もしばらく指の跡がへこんで元に戻らないようなら、むくみが起こっていると考えられます。