投稿者「bpcontrol」のアーカイブ

これといった症状はなくても放置しておくと動脈硬化が進む

血圧が高いと言われても、体に症状がないために問題ないと放置する人がおられます。しかし、血圧が高い状態が続くと、血管が弾力性を失って全身に血液を送ることができなくなります。そのままにしておくと、脳や心臓などに障害が起こり、死につながることもあるのです。

自覚症状はなくても血管障害がおきる

血圧が高くても自覚症状はほとんどありません。しかし、体の中には確実に変化が起こっています。
心臓から送り出された血液は、大・中・小動脈から細動脈を経て毛細血管へと流れていきます。この中で、血圧が高い状態が長く続くと、特に影響を受けるのが柵動脈です。
動脈は内膜、中膜、外膜の三層になっています。なかでも中膜は、筋肉の輪になって動脈に弾力性をつける働きをしています。
心臓から血液が送り出される際に、高い圧力がかかっている状態が続くと、細動脈の中膜が発達して厚くなります。心拍出量が増えて多くの血液を送り出しているのに、末梢血管抵抗が増大するので、出口に近い細動脈に影響が及ぶのです。
中膜が厚くなっても血管が太くなるわけではなく、内側が厚くなるので内腔が狭くなってしまいます。するとそれまでの弾力性が失われて硬い血管になります。これが動脈硬化です。

全身の細動脈に動脈硬化が起きる

高血圧が続くと全身の柵動脈に動脈硬化が起こります。特に、脳の血管や心臓から出る動脈が詰まったり破れたりすると、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞など、命にかかわるような病気を引き起こします。
また、目の網膜動脈や腎臓の動脈などが動脈硬化を起こすことによって、臓器障害が引き起こされます。
さらに、高血圧だと心臓に負担がかかるために、心肥大や心不全などの合併症を招くことになります。
高血圧には、これといった症状はありません。そのために気付かず放置しておくと、いつのまにか血管や心臓が障害されて、命にかかわるような病気を引き起こすことが多いのです。そのため高血圧は「サイレント・キラー(沈黙の殺し屋)」とも呼ばれているのです。

細動脈の直径は0.5mm以下

毛細血管へ血液を送る細動脈の直径は、わずか0.5mm 以下です。その細い血管内にも中膜があるおかげで、弾力性によって心臓が拡張したときの血圧がゼロにならずにすむのです。ちなみに毛細血管では直径わずか0.01mm です。

収縮期血圧と拡張期血圧の数値によって、高血圧は細かく分類

収縮期血圧が140mmHG以上、拡張期血圧が90mmHG以上は高血圧と診断されます。しかし、それ以下であっても注意しなければならない人はたくさんいます。高血圧は日本人の成人に最も多い病気です。常に血圧の値に注意するようにしなければなりません。

日本人の4人に1人は高血圧

現在、日本で高血圧の人は約4000万人もいると言われています。国民の4人に1人が高血圧とされ、成人に多い病気の代表格と言えます。
日本高血圧学会が作成したガイドラインでは、正常な血圧値は収縮期血圧が130mmHG未満、拡張期血圧が85mmHG未満です。
さらに正常血圧の範囲の中でも、収縮期血圧120mmHG未満かつ拡張期血圧80 mmHG未満を、心臓や血管に最も負担のない理想的な血圧という意味で「至適血圧」として設定しています。
また、正常範囲であっても、やや高めの場合は「正常高値血圧」となります。これは、今は高血圧ではないけれど今後高血圧になる可能性があるという意味で、高血圧の予防が必要という警告の数値と考えます。

高血圧は細かく分類される

高血圧と診断されるのは、収縮期血圧が140mmHG以上、拡張期血圧が90mmHG以上です。
高血圧は程度によって対応が異なるため、数値ごとに細かく分類され「軽症」「中等症」「重症」の3段階に分けられます。
なお、収縮期血圧と拡張期血圧が異なる分類に入る場合は、高い方の分類に組み入れられます。
また、それ以外にも「収縮期高血圧」という分類もあります。これは、高齢になるに従い、動脈の弾力がなくなって収縮期血圧だけが高くなるタイプの高血圧です。
高血圧のガイドラインの分類は、あくまでも脳梗塞や心筋梗塞を起こす危険度の目安にすぎません。正常血圧なら絶対病気にならない、と線引きをしているわけではないので、血圧値には常に注意するようにします。

高血圧の基準は世界共通

高血圧の診断基準は、世界共通というわけではありません。食生活や体質など国によって異なる面もあるため、国によってWHO(世界保健機関)/ ISH(国際血圧学会)、米国合同委員会、欧州高血圧学会によるものなど、それぞれの基準があります。ただし「140/90mmHG以上が高血圧」という基準はどれも共通です。

軽症高血圧でも医療機関への受診を

高血圧と診断されても30~40歳代の人の8~9割が治療を受けていないとされます。
また50歳代でも治療を受けていない人は65% 以上にのぼるとされています。高血圧は軽いうちなら薬に頼らずに治療ができます。たとえ軽症であっても、必ず医療機関を受診するようにします。

同じ条件で長期間測定が基本

血圧は1日の中だけでなく、季節や気温によっても変わります。家庭用血圧計を用意して、毎日測る習慣をつけるのがおすすめです。上手に使えば高血圧の予防はもちろん、治療にも役立ちます。高血圧で受診している人は1日3回測定して結果を主治医に見てもらうと適切な治療方針が早く決まります。

同じ条件で日にちを変えて測定

血圧は、健康な人でも変動しやすいので、1ヶ月に1度医療機関で測ってもらうだけでは、状態を十分に把握できません。
また、実際には高血圧ではないのに、病院では血圧が高くなってしまう「白衣性高血圧が起こることもあります。
病院で測るときは、同じ条件で日にちを変えで数回測ることが大切です。また、家庭で血圧を測り、血圧の変化をつかむ習慣をつけることが重要視されています。
家庭で簡単に血圧を測定できる機器が増え、日本高血圧学会でも、家庭で測る血圧値を高血圧に重要な指標として位置付けています。
日ごろから家庭で血圧を測定すれば、自分の血圧のレベルや変化を把握でき、血圧のコントロールにも大変役立ちます。また、医療機関で測ると正常血圧なのに、普段の生活では高血圧になる「仮面高血圧」も見つけることができます。

血圧が高い人、やや高めの人は家庭用血圧計は必須です。

家庭用血圧計で朝夕2回測って記録する

家庭用血圧計にはさまざまなタイプのものがありますが、上腕にカフを巻きつけて測定するタイプが、誤差が少なく表示されます。より正確に血圧を調べたい人にはおすすめです。
測定は毎日同じ条件で長期間続けるのが基本です。朝夕2回測り、きちんと記録を残すようにしましょう。
タイプによっては睡眠中の血圧も測れるタイプもあります。血圧は1日何回測っても構いませんが、測定するたびに記録をしておくと、血圧値の変化があったときに医師に提示することで、正しい診断につなげることができます。

血圧測定の際の注意点

  • 病院で測定する場合…計測前30分以内はコーヒー・紅茶などカフェインの入った飲み物や、喫煙を控える・少なくとも5分間以上は座って安静にしてから測る
  • 家庭で測定する場合…【朝】●起床後1 時間以内●朝食前●降圧薬服用前●排尿後●座って1~2分安静にしてから測る
    【夜】●就寝前
    ●座って1~2分安静にしてから測る

家庭で測る方が病院で測るよりも血圧は低くなる

家庭で測る血圧は医療機関で測定するよりも低めになるのが一般的です。そのため、日本高血圧学会の治療ガイドラインでは、家庭用血圧計での高血圧の診断基準は、医療機関での測定値よりも低く設定されています。

家庭用血圧計による高血圧の基準

  • 高血圧:13 5/80mmHg以上
  • 降圧治療が必要:135/ 85mmHg以上
  • 正常血圧:125/80mHg未満
  • 確実な正常血圧:125/75mmHg未満

心臓が送り出す血液量と末梢血管の抵抗が血圧となる

血圧が変動する要因の中で、特に重要なものlま、心臓から送り出される血液の量(心拍出量) と末梢血管の抵抗性(末梢血管抵抗) です。このほかの要因には、血液の粘りの程度や血管の弾力性、体内を循環する血液の量などがあります。

心拍出量と末梢血管抵抗で血圧ははぽ決まる

ホースに水道から水を流すとき、水量が多いと高い水圧がかかってホースはピンと張りつめます。
たとえ水量が少なくても、どこか途中でホースを押さえれば、水が流れにくくなる分、押さえた後ろの部分はやはり張りつめた状態になります。これと同じように血圧も、「心拍出量」と「末梢血管抵抗」でほぼ決まります。
心拍出量とは、心臓が1回に収縮して押し出される血液の量のことです。収縮する力が強ければ押し出される血液も多くなるため、血圧が高くなります。
末梢血管抵抗とは、末梢の血管に血液*が流れ込んだときに受ける抵抗です。末梢の毛細血管が収縮すると、血液の通り道が細くなって血圧が上昇します。寒いところで身が縮こまるような感じがするときは、末梢血管が収縮して、その抵抗で血圧が上がっているのです。逆に、暖かいところでリラックスしているときは、心拍出量も末梢血管抵抗も低下するので、血圧も低めになっています。低血圧の人がお風呂で血圧が下がってめまいがするのは、心拍出量も末梢血管抵抗も低下しているためです。

循環血液量や動脈の弾力性も関係する

心拍出量と末梢血管抵抗以外に、血圧を決めるものには「血管の弾力性」「循環血液量」「血液の粘度」があります。
もともと動脈はゴムのように弾力に富んでいますが、弾力性を失って硬くなると、強い力で血液を流さなければならないので血圧は高くなります。
また、けがなどで多量に出血すると、体内を循環している血液の量(循環血液量)が減り、血圧は下がります。血液の粘り気を示す血液の粘桐度が増すと、末梢血管のように細い血管に血液が通りにくくなり、末梢の抵抗が増して血圧が上昇します。

寒さやストレスも血圧の上昇原因になる

末梢の毛細血管の抵抗が大きくなる原因には、寒さやストレスによるものが多くあります。末梢血管の抵抗が大きくなると、高い圧力をかけて血液の量を確保しようとするため、収縮期血圧も拡張期血圧も両方高くなります。

高齢になると血圧は上昇しやすい

高齢になると、誰でも動脈の弾力性が低下します。すると、収縮期血圧だけが上がりやすくなります。また、収縮期血圧だけが高くなる場合は、心拍出量の増加が関係していることもあり、心臓病やバセドー病の人に見られる症状です。

日中高くなり、夜間の睡眠中は低くなる

血液が休会体にバランスよく巡るのには、自律神経が深く関係しています。体も頭も活発に働く日中は、自律神経の交感神経が活発に働いて血圧が高くなります。また、睡眠中は副交感神経が働いて、血圧は低くなります。

血圧は活動量応じて血液量を調整している

血圧は血液の流れを調整して、無駄なく全身に行き渡るように働いています。そのため、常に一定というわけではありません。例えば、運動をしたり活発に動くと、体は多くのエネルギーを消費します。すると心臓は、体中の細胞に血液を送り込まなければいけないので、血圧が上昇します。
一方、就寝中などは、エネルギーをほとんど必要としないので、送り込む血液の量を少なくします。
血圧は、1日のうちでも変動します。健康な人では朝起きて、交感神経が優位になるのと同時に上昇し、日中の活動時には高くなるというリズムがあります。
そして、布団に入る低くなり、眠っている間は最も低い状態になります。このように1日の間に血圧が変わることを「血圧日内変動」と言います。

活動量に応じて自律神経が血圧を調整

血圧が血液をバランスよく配分できるのには、自律神経が大きく関係しています。自律神経は生命を維持するためにかかわっている、すべての機能や器官をコントロールしている神経です。
自律神経には、交感神経と副交感神経という2種類の神経があります。
交感神経は昼間活動しているときに活発になり、逆に副交感神経は夜間安静にしているときに活発になります。緊張したり興奮すると交感神経が刺激を受け、血管を収縮させるホルモンの分泌が促されます。そのため、強い力が必要になつて血圧が上がります。「怒ると血圧が上がる」と言われるように、精神的な緊張や動揺、ストレスなどがあると、血圧は高くなるのです。

自分の血圧の傾向をしっかり把握するには時間を決めて測定する

血圧は1 日のうちでも変動するので、家庭で血圧を測るときは毎日同じ時間に測らないと意味がありません。
いつも同じ時間に同じ条件で測るようにしましょう。また、早朝に高血圧気味の人は、朝の測定は欠かせません。放っておくと心筋梗塞や脳卒中の危険性が高くなります。

軽い高血圧でも季節によつて変動幅が大きくなる

血圧は季節によっても変動します。高血圧の人は、たとえ軽症であっても夏と冬では血圧の変動幅が大きくなる傾向があります。
また、夏には正常域でも冬になると血圧が高くなる人もいます。血圧は季節ごとに測定することが大切です。