血圧には、血管壁にかかる圧力が最も高い状態の「収縮期血圧」と、最も低い状態の「拡張期血圧」があります。高血圧の診断には、どちらか片方だけではなく、両方の値が欠かせません。
高いほうの収縮期血圧(最高血圧)と低いほうの拡張期血圧(最低血圧)
血圧は、最も高い値と最も低い値の2つの数値で表されます。よく病院などで「上が○○で下が○○ですね」というアレです。
心臓は左心室から大動脈へと血液を送り出すとき、強く収縮します。このときの血圧を「収縮期血圧」と言い、最も強く圧力がかかることから最高血圧(上の血圧) とも言います。
一方、全身を巡って戻ってきた血液が右心房へと流れ込んでくると、心臓は拡張します。このときの血圧を「拡張期血圧」と言い、圧力が最も低くなることから最低血圧(下の血圧) とも言います。拡張期血圧は末梢血管の抵抗 と動脈壁の弾力で決定されます。
上と下のどちからかだけが高い場合でも「高血圧」
血圧を測ると「135/85mmHG」というように2つの数字で表されます。数字の大きい方が収縮期血圧、小さい方が拡張期血圧を示します。
血圧とは、水銀血圧計で測ったとき、「水銀(水の13倍の重さ) を1m押し上げるための圧力」とされています。つまり、血圧が「135mmHG」というのは、「水銀を135mm押し上げられるだけの圧力」を意味しています。
高血圧というと、上の血圧、つまり収縮期血圧だけを気にする人も少なくありません。しかし、収縮期血圧だけが高い場合だけでなく、両方とも高い場合、あるいは拡張期血圧だけが高くても、正常範囲を超えると高血圧と診断されます。
最低血圧が高いと脳出血を起こしやすく、「上の血圧が少し高いけど、下の血圧は正常範囲だから大丈夫」と決して安心はできないのです。
また、血圧はいつも同じというわけではありません。1日のうちでも変動し、運動したときや精神的な緊張、温度差によっても変わります。そのため、いちど測った数値だけで一喜一憂せず、日を変えて何度か測ることが大切です。
たとえば、1日3回と決めたら同じ時間に測って毎日記録すると自分の血圧の傾向がわかります。
水銀血圧計とは?
医療機関で血圧測定に従来より一般的に使用されているのは水銀血圧計です。
水銀血圧計では、上腕にカフという帯を巻いて「コロトコフ音(圧迫によって狭められた動脈の拍動による音)」の変化を聴診し、最初の書が聞こえた時点の血圧を「収縮期血圧」、書の消えた時点を「拡張期血圧」として測定します。